深い山の中で樹皮を剥く

非常に貴重な体験をしてきました。
「80歳のきこりのおじいちゃんと山へ入り、樹齢60年の杉木の伐採に立ち会って、その樹皮を剥く。」

文字にするとたったそれだけのことだけど、普通に生きていたら体験できないことばかり。
・きこりに会うことがない
・きこりと知り合う機会が無いので、木を伐採するところを見る機会もない
・樹皮を剥ぐことがない

そりゃそうでしょ、と言われそうな気もしなくもないですが、感動体験の連続でした。

場所は、青梅市にある「青梅 賢治の農楽校」。
深い深い山の中にあります。

集落の向こうにある山へ入り、杉の伐採に立ち会いました。

スルスルと脚立を登り、伐採する木に縄をかけるきこりさん。

写真では伝わりにくいと思うのですが、脚立だけでもかなり高いのに、
縄をかけている杉の木の下は、目が回るほどの高い急斜面。
高所恐怖症の私は、見ているだけで心臓バクバクでした。

御年81歳、この足の開き!!!!すごい!

そして、伐採。

メリメリメリ!っというすごい音と共に倒れました。

縄の掛ける方向、引く方向で、倒れる向きが計算されています。
誰かが三角関数の話をしていましたが、計算式として使っていなくても、経験値の中で使っているんでしょうね。

長さが半分になっても、大の大人3人がかりでやっとこ移動させられる重さ。

伐採した木は2mごとにカットし、軽トラックで運び出しました。
戻るとすぐに木の皮の剥がし方のレクチャーを受け、いざ、樹皮向き開始です。

カッターナイフで切れ目を入れた場所へ細いヘラを挿し込み、樹皮の下へ空気を入れます。
樹皮の下から、きれいな木肌が見えてきました。

樹皮を剥がすとき、「ジュワッ」とか「シャリッ」みたいな木の水分の音がします。
これが気持ちが良くて、感動的。
さっきまで大地に立っていた木でないと決して聞くことのできない音です。

頬ずりしたくなるほどスベスベ、そしていい香り。

日本の多くの山間部で行われていたのと同様、昔は樹皮を剥がした丸太を建築材と売っていたそうですが、今回必要なのは樹皮の方。

ひごにするための下処理として、鎌で鬼皮を削いでいきます。

右が削ぐ前、左が大体削いだもの
腰痛と闘いながら、ひたすらに鎌を動かします。
なかなかにすごい量でしたが、
みんなで削ぎ削ぎ、きれいになりました。
こちらはくるみ。杉やヒノキより簡単に剥けます。
中表にしてくるくると丸めたら、
さっと茹でます。

防カビ・殺虫のための作業です。
あまり長く茹でると、自身の持っているタンニンで真っ黒になってしまうそうで、茹で時間は20秒ほど。

くるみの皮で作った道具入れ。

ワタクシ、この道具入れがとにかく気に入ってしまい。
作り方が乗っている本を教えてもらいました。
ですが、かご編みは素人なので、いずれ先生のお宅で教えてもらおうかと思っています。(秩父だよ!でも、行く気満々)

作用台に生えていたきのこ、かわいい。

ツノマタタケという、キクラゲの一種だそうです。
あちこちにキノコや苔がびっしり生えているだけあって、かなり湿度の高い場所でした。

深い緑に囲まれ、気さくな参加者のみなさんとお話しながら貴重な体験をした一日。
まるで夏休み、旅行をしたかのような充実した気分でした。

注意)
この日は樹皮剥ぎ体験だけで、樹皮はもらえません。
欲しい場合、秋にある「杉の皮でひごを作る」「作ったひごでかごを編む」の回にも参加する必要があります。

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